研究概要 |
(1)CeAg及びCeAg_<0.97>I_<0.03>のμSR:CeAgはCsCl型の立方晶であるが15Kで正方晶に四重極間相互作用により構造相転移する. さらに5Kで強磁性転移する. CeAgはFermiレベルのすぐ上に非常に狭いα-band(Eg-band)がありAgを一部Inで置換することによりEg-bandが電子で占拠され, バンドヤーン, テラー効果により構造相転移を生ずるようになる. この構造相転移の原因の違いがμSRにどのように反映されるかを研究した. これらの結果について理論的に解析中である. (2)FeNiインバー合金のμSR:我々はこうしたインバー効果の原因をより明らかにするため, Fe_<66>Ni_<34>インバー合金の多結晶試料を用いてzero-fieldμSRの実験を行なった. その結果, u-e崩壊の初期asymmetry asは温度を下げるとTc付近で急にTc以上の値の1/3程度に減少することから, Tc以下で広く分布を持つ強い静磁場が各ミュオンサイトで発生することが分かる. 我々は各温度で結果を単純な緩和関数asexp(-t/Tμ)でフィットしてみた. 得られた緩和率1/Tμは, 常磁性相から温度をTcに近づけると発散傾向を示し, 2, 2/(T-Tc)(μS)-1に良くフィットする. これはTc近傍でのFe_<66>Ni_<34>におけるスピンのゆらぎのcritical slowing downを捕えているものと解釈される. このような温度依存性は純粋なNiのμSRで観測されているが, 大きさはNiと比べて8倍程大きい. このことをFe_<66>Ni_<34>とNiの磁気モーメントを単純に比較することで説明することはむずかしく, インバー合金特有の性質が現われている可能性がある. 現在, Tc以下のデータも含めた詳しい解析を行ないつつある.
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