研究概要 |
高融点金属(タングステン, イリジウムなど)および表面自己清浄効果をもつ金属間化合物・電子放出体(LaB6など)を高温に加熱し, これら材料の高温加熱による表面物性の変化を各種の表面解析法を用いて予備的な検討を行った. また, 絶縁体結晶(酸化マグネシウム)の微粉末やニッケルの微粒子の表面のキャラクタリゼーション法および評価法について検討し, 高効率なミュオニウム生成メカニズムについて詳細な検討を行った. ついで表面オージェ過程によるミュオニウムのイオン化を利用した発生法の採用に関して物理学的な, また発生効率の向上に関し技術的な討論をもった. これらの段階をふまえてプログラムを決めた. 本研究の成果は, 熱脱離による低速ミュオニウムの発生効率の高い材料の発見と開発およびミュオニウムの生成効率が高く表面でのオージェ過程の高い絶縁体結晶の開発に依存するので, 固体表面での素過程の研究, 低速μ中間子, 低速ミュオニウムの物理・化学の体系化, μ+中間子を利用した新しい表面解析法-「低速μ回折」「表面μSR」「低速μ+エネルギー損出分光」-の基礎を低速μ+中間子や低速ミュオニウムの同族粒子である低速陽電子や低速ポジトロニウム, あるいは低速の陽子や低速水素原子の物理・化学物性を利用した解析法との対比を体系的に行った. また海外のこの分野の進展についての調査を行った. ターゲットとしてSiO_2粉末を用いて, 熱エネルギーミュオニウムを発生させ, これにレーザーを照射し, ミュオニウムの3光子吸収によるイオン化にも成功した. これらの効果を総合的に比較し, 最も効率の高い方法を選定できる段階となった.
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