研究分担者 |
興地 斐男 大阪大学, 工学部, 教授 (20029002)
近藤 淳 電子技術総合研究所, 特別研究官
寺倉 清之 東京大学, 物性研究所, 助教授 (40028212)
豊沢 豊 中央大学, 理工学部, 教授 (50013454)
北原 和夫 東京工業大学, 理学部, 助教授 (20107692)
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研究概要 |
1.金属合金中の負μ中間子原子の超微細構造相互作用の異常 金属中の負μ中間子を捕えた原子核とそれより一つ原子番号の小さい原子核との超微細構造相互作用の差について, 前年からの強磁性鉄, ニッケルの計算をPdおよびPdRh合金に発展させた. これらの場合を取り上げた動機は, 電子状態の差が超微細構造相互作用に反映されるBreit-Rosenthal(BR)効果が, これらの場合に大きく, 従来格子欠陥に由来すると一応結論されていたPdの場合の-36%という大きい実験値が, 実際にはBR効果を現している可能性があるためである. 現在までの結果では, Pd中で-8.85%というかなり大きい値を得たが, 周囲の母体原子の電子状態の変化を考慮して計算を改良する余地があるので検討中である. またこの効果はPdRh合金でRh濃度によって敏感に変化することが期待されるので理論的予測の計算を進行させている. 2.半導体中のAnormalous Muonium C,Si,Ge中で異方的超微細構造相互作用を示す正μ中間子周辺の状態について, 最近結合している二つの母体原子の中央に位置するという可能性が提唱された. それを調べるための2種類の計算を行った. 一つは分子動力学と電子構造の計算を組み合せによって安定位置を決定する研究で, ボンド中央(ただし二つの母体原子間の距離はかなり大きくなる)が確かに安定位置であることが示された. 一方その位置での精密な電子状態の計算も進行中で, 現在までの結果では超微細構造相互作用の理論値と一致する可能性が大きい. 3.スピン緩和 正μ中間子がランダムな磁場中を量子力学的(バンド)運動するときのdepolarization関数を求める理論を展開した. また磁場が規則的に変化する場合の考察も進めている. 4.昭和63年1月6, 7両日これらの研究および高温超伝導体についてのμSRを主題として研究会を行った.
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