研究概要 |
本研究班は精密有機合成に役立つ新しい実用的な光化学合成プロセスを開発し, 反応を制御することにより高効率光化学プロセスを確立し応用開発に結びつけることを目的とする. 同時に, 低温光化学により従来知られていない新しい反応中間体を検出同定し, その反応制御により新しい物質の合成を行う. 次年度に引き続き以下の研究業績を遂げることに成功した. 1.光化学プロセスを用いる生理活性化合物の実用的合成法の開発. 光化学反応を鍵ステップとするカルバペネム抗生物質のキラルな実用的合成法の開発に成功した(金子). さらに, プロスタグランジン合成中間原料であるコーリーラクトンのキラル合成にも成功をおさめた(金子). 2.光化学プロセスによる生体物質の変換. 抗ガン剤ブレオマイシンのDNA認識部位であるビチアゾール部を特異的に高効率で化学変換する光化学プロセスの開発に成功した(松浦). これにより, 新規なブレオマイシン誘導体を効率良く合成することができる. ロドプシンの特異的な光異性化を模擬する立体特異的な光異性化反応系を蛋白を利用することにより構築しその応用を計った(大橋). 3.特異な骨挌を有する機能分子の合成. 低温光化学で生成するカルベンの反応制御を行う事により新規骨格の分子の合成を行った(伊沢). 分子内ドナー・アクセプター系の光電子移動反応の制御により, イソベンゾフルベンや類縁体の合成に世界で始めて成功し その反応性について検討を行った(宮仕).
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