研究概要 |
細胞膜結合性GTP蛋白を直接活性化し, 肥満細胞脱顆粒活性を示す新しいペプチド群を数種の蛙皮膚中から発見し, そのうち4種のアミノ酸配列を解析した. これらのペプチドは20あるいは21個のアミノ酸からなるペプチドアミドで疎水性アミノ酸に富む特異な配列を持つ新規なものであった(中嶋). これらのうちN末端部がホルミル化されたものがあり, このペプチドは好中球, およびマクロファージに対し走化性があった. 昨年に引きつづき井村はANFの分泌動態, 体内分布をモノクローナル抗体に用いる高感度測定法を駆使して研究し, 心不全患者はANFのβ体も産生すること, また心室からもANFが得られることを明らかにした. ANFの脳内投与ではANFは飲水行動抑制, アンジオテンシン, ACTH分泌抑制等やはり脳においても体液, 血圧の調節に関与することを示した(井村). 宗像, 矢内原は各種ペプチドホルモンを化学合成し構造と活性発現について検討した. ニューロキニンAのアナログを11種合成し, 子宮筋収縮活性を検討したところVal→Thrの置換で一般に収縮活性は減弱したがガストリン遊離作用は差があらわれずペプチド受容体に微妙な差のあることがわかった. またVal→Alaは拮抗作用があらわれた(宗像). グルコースによるインシュリン分泌を抑制するガラニンはその活性部がN末端部に局在し, C末端部は逆に亢進作用があることが判明した. N末部のTrp→Alaにより活性が半減することTrp→Pheにより活性が上昇する等ペプチドホルモンの活性発現には重要なペプチド部位が存在することを明らかにした. 中山は昨年に引きつづきハロアニリンから2置換インドール骨格の合成, ピローリピリジンの効果的な合成法を開発し, これを組み込んだTrpペプチドの合成, インドールアルキルアミンの合成を行った.
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