研究分担者 |
山崎 博史 理化学研究所, 主任研究員 (00087511)
村井 真二 大阪大学, 工学部, 教授 (00029050)
佐藤 史衛 東京工業大学, 工学部, 助教授 (50016606)
高谷 秀正 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助教授 (40022644)
辻 二郎 東京工業大学, 工学部, 教授 (00016685)
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研究概要 |
昨年度に引き続き, 各種有機遷移金属錯体を合成し, それら新規錯体の構造を確立し, 化学反応性に関する研究を行なった. 特に配位子として, 三級ホスフィンを有する単核錯体, 環状チオエーテルを有する錯体, COを有するクラスター錯体について反応性に関する詳細な研究を行なった. パラジウム錯体では炭酸アリル等の有機化合物のC-O結合切断及び生成反応を伴う新反応が見出され(山本), ルテニウムカーバイトカルボニルクラスター錯体ではメチル基, アセチル基, アリル基等の配位子を有し, 触媒活性を有する錯体が初めて合成された(山崎). 環状チオエーテルを配位子とするモリブデン錯体は窒素分子, 酸素分子, アセチレン等の小分子と結合することが見出され(吉田), タングステン錯体に結合した窒素分子はトリメチルクロロシランによりシリル化され, トリメチルシリルアミンを生成することを見出した(千鯛). これらの基礎的研究の成果を参考にしながら, 遷移金属錯体を触媒として用いる新反応の開発を行なった. その結果, (1)パラジウム触媒を用いるエノンの一般的合成法が確立され, ステロイド類, プロスタグランジン類の有用な合成法が見出された(辻). (2)コバルトカルボニルとシラン類を用いるフラン及びピラン環を有する化合物を合成する方法を見出し, 糖類の新合成法を開発した(村井). (3)ルテニウム触媒を用いるα, β-不飽和カルボン酸の不斉水素化の機構を解明し(高谷), (4)ルテニウム触媒を使用する新しいアミド合成法を開発し, ポリアミド合成へ展開した(村橋), (5)不斉エポキシ化反応を利用する各種の光学活性アリルアルコールの合成と生理活性物質の新合成法の開発に成功した(佐藤).
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