研究分担者 |
北川 泰雄 名古屋大学, 農学部, 助手 (50101168)
佐々木 幸子 京都大学, 農学部, 助手 (00026519)
二井 將光 大阪大学, 産研, 教授 (50012646)
渡辺 昭 名古屋大学, 農学部, 助教授 (70023471)
大山 莞爾 京都大学, 農学部, 助教授 (40135546)
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研究概要 |
葉緑体とミトコンドリアは自己増殖性のオルガネラであり, 眞核細胞の中でそれぞれに独自のDNAゲノムを保有している. しかしながら, その自律性は不完全なものであり, 多くの構成タンパク質を核遺伝子に依存している. したがって, オルガネラの遺伝的制御を理解するためには, オルガネラ遺伝子の発現制御とともに, オルガネラ用の核遺伝子の発現調節や遺伝子産物のオルガネラへの輸送の問題等を併せて研究しなければならない. このような観点から本年度の成果をまとめると: 1.ゼニゴケ葉緑体ゲノムの遺伝子構成の全容が明らかにされ, 約130種の遺伝子は転写や翻訳に関与する基礎遺伝子であった. 2.葉緑体内のタンパク複合体は, いずれも葉緑体と核の遺伝子に由来するものである. 3.葉緑体遺伝子にもイントロンがあり, 主にグループII型のものである. 4.葉緑体内の遺伝子発現では, 多数の遺伝子がまとめて転写されてのち, プロセツシングやスプライシングが起きる. 5.また, これに関連してトランス・スプライシングのモデルも提出された. 6.エンドウの実生を光照射すると葉緑体DNAの複製が促進されるが, とくに光によって葉緑体遺伝子の発現が先行する必要はない. 7.葉緑体遺伝子のなかには, 光刺戟と無関係に発現しているものがある. 8.ホーレンソウの葉緑体から, in vitroで光化学系IIの複合体形成を研究する実験系が確立された. 9.また, 分離したチラコイド膜上での葉緑体ATPaseの複合体形成にも成功してしる. 10.ATPase複合体は基本的には大腸菌などとも共通であり, F1ATPaseのβサブユニット上に触媒中心があることが示された. 11.動物ミトコンドリアについては, 肝細胞を用いミトコンドリアへ移行するカルバミニルリン酸合成酵素の核遺伝子がグルココルチユイドヤインスリンで発現調節されることを示す結果が得られた.
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