研究分担者 |
和田 正三 東京都立大学, 理学部, 助教授 (60011681)
平井 篤志 名古屋大学, 農学部, 助教授 (60023470)
東江 昭夫 広島大学, 工学部, 教授 (90029249)
佐々木 幸子 京都大学, 農学部, 助手 (00026519)
旭 正 名古屋大学, 農学部, 教授 (10023392)
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研究概要 |
研究計画に従って植物細胞と細胞小器官の遺伝, 増殖, 分化の機構を細胞生物学や分子生物学的方法を用いて解析し, 次の成果を得た. 1.色素体(pt)の母性遺伝機構の解析を車軸藻, シダ, 高等植物(ユリ他10種)で行い, 受精直前に雄由来ptDNAの選択的消化がこれら殆ど全てにおいて起こることを明らかにした(黒岩). 2.異種のタバコ培養細胞をの融合させた実験から, 異種のptを含む植物は分化しにくいことが分かった(平井). 3.エンドウの各組織でpt遺伝子(13遺伝子)の発現を解析し, 光合成系遺伝子(7種)の発現は葉で多く, 根では極めて少ないことが分かった. 一方House keeping遺伝子(6種)は組織特異性を示さず一定量発現していた(佐々木). またタバコ培養細胞から原ptの分離法を開発した. これを用い原pt核(核様体)の無傷単離に成功し, 4種のptDNA結合蛋白質(MW:69KD, 31KD, 30KD, 14KD)を同定した(黒岩). 原ptから分化したシダの葉緑体は光の影響を受けず, むしろ細胞伸長に関係し分裂した(和田). 4.ミトコンドリア(mt)の形成機構を薩摩芋のチトクロムオキシダーゼのサブユニットVcの塩基配列から解析し, この分子が他のサブウニットとの会合の橋渡しをしていることが示唆された(旭). またmt遺伝子の制御機構を解析するために, mt核の無傷単離を行い, DNA結合蛋白質(MW:67KD, 54KD, 38KD, 30KD, 20KD)を同定した. この蛋白質とタバコ細胞由来のmtDNAから複合mt核の作製に成功した(宮川). 5.核小体内における遺伝子制御の機構を調べるため, 酵母の細胞核にある酸性フォスファターゼ遺伝子(PHO5)をベクターに繋ぎ核小体に挿入した結果, フォスファターゼが生産され, 核小体内はかなり自由に分子の出入りがあることが分かった(東江). 6.液胞の膜系に関しては, プロトンポンプを駆動するATPaseとPPaseはそれぞれ液胞膜の細胞質側及び内側に局在し全く異なった生理機能を持つことが示唆された(吉田).
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