研究分担者 |
郷 通子 九州大学, 理学部, 助手 (70037290)
斉藤 信彦 早稲田大学, 理工学部, 教授 (20063125)
郷 信広 京都大学, 理学部, 教授 (50011549)
和田 昭允 東京大学, 理学部, 教授 (10011462)
須貝 新太郎 北海道大学, 理学部, 教授 (80000727)
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研究概要 |
球状タンパク質(α-ラクトアルブミン, リゾチーム, リボヌクレアーゼA, トリプトファン合成酵素α-サブユニットなど), 膜結合性タンパク質(哺乳類臓器チトクロムP-450, 光合成細菌の反応中心など)のアミノ酸配列に対応する遺伝子の組換えをさらに進め, 多種の変異タンパク質を調製することに成功した. 変異型と野生型との相当する蛋白質の反応活性の比較を行うとともに, 物性, 立体構造を詳細に調べ, 当該タンパク質の構造・機能相関について多くの知見を得た. このようなタンパク質における立体構造形成と機能発現のメカニズムの研究において, 類縁タンパク質のX線結晶解析の結果に基づく当該タンパク質の全原子座標を駆使したコンピュータ・グラフィクスの手法が極めて有効であることを確認した. 示差走査微小熱量計, 種々の超高感度分光システム, 超高速分光システム, 立体構造解析ソフトウェア, コンピュータ・グラフィクスソフトウェアなどを開発し, 上記の球状タンパク質や膜結合性タンパク質の立体構造形成と機能発現メカニズムの解析を高度に精密化することに成功した. これらの構造・物性・機能のデータを蓄積し, 種々の遺伝子上に書きこまれたタンパク質のドメイン構造やモジュール構造を解析した. この手法は次第に単純な構造のタンパク質から複雑な構造のタンパク質へと適用対象を着実に展開していくことにも成功した. 理論的な研究対象は比較的小さな分子量のタンパク質に限られていたが, 計算機シミュレーションによるタンパク質の立体構造形成予知は確実さを増すと共に, NMRによるデータの補完によりよい実験的補正も試みられ, 充分に実用に供せられるようになってきた. 一般的に拡張できるいくつかのタンパク質高次構造予知の理論も提案された. 実験的にも理論的にも飛躍的進歩がみられたことに感謝している.
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