研究分担者 |
竹市 雅俊 京都大学, 理学部, 教授 (00025454)
松本 元 電子技術総合研究所, 電子計算機部, 室長
宝谷 紘一 京都大学, 理学部, 助教授 (80025444)
柳田 敏雄 大阪大学, 基礎工学部, 助教授 (30089883)
香川 靖雄 自治医科大学, 医学部, 教授 (30048962)
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研究概要 |
本年度当初たてた研究計画は順調に実施された. 香川は好熱菌ATP合成酵素のα及びβサブユニットのそれぞれに数種の部位特異的変異を入れものを作り, これらを野性型サブユニットと組合せる実験を完成し, αはアロステリック, βは触媒機能を担うことを結論した. 柳田は昨年度に, アクチン・ミオシン間の滑り運動の距離がIATPサイクル当り0と60nmにわたることを示す実験によって, 滑り運動機構研究の歴史に革命的機運をもたらしたが, 本年度はアクチン繊維1本をマイクロマニピュレートする技術を開発し, すでにアクチン繊維の引っぱりに対する限界応力を測定することに成功した. また朝倉は, トロポニン・トロポミオシンを結合することにより調節されたアクチンのミオシン上の滑りがCaイオン濃度の狭い範囲内でオン/オフ的に制御されることを示した. 宝各の微小管動的不安定性の直接観察も国際的な評価を得るに至り, 昨年米国細胞生物学会の年会の折に招待講演を行った. 本年度はこの現象に及ぼす微小管結合蛋白質の影響について解析をした. 松本はヤリイカ視細胞の微絨毛の骨格となっているアクチン繊維の構造が, 光刺戟によって著しく変化することを発見した. 現在は光応答の時間である数ミリ秒まで時間分解能を上げるために急速凍結法の改良を行っている. 竹市はE, P, N型の3種類のカドヘリンの遺伝子のクローニングと塩基配列の決定を完成し, これらカドヘリンの一次構造を比較した. さらにカドヘリンを欠くL細胞にカドヘリン遺伝子を人工的に導入することにより, この細胞にカドヘリン特有の細胞間接着能が出現することを証明した. 朝倉はリセプター蛋白質におけるアロステリック転移と可逆的リン酸化反応の間の正の連鎖系に, セカンドメッセンジャーによる正のフィードバックをかけることにより, リセプターにオン/オフスイッチの性質が現れることを理論的に示した.
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