研究分担者 |
鹿取 信 北里大学, 医学部, 教授 (50050365)
山本 尚三 徳島大学, 医学部, 教授 (50025607)
仁村 泰治 国立循環器病センター研究所, 所長 (50028320)
外山 淳治 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (20023658)
杉本 恒明 東京大学, 医学部, 教授 (60019883)
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研究概要 |
臓器梗塞の解析においては内在する臓器血流の制御と破錠の仕組みを認識することが重要である. 本研究では血管の生理・病理にかかわる諸問題解決に向けて以下の3つの主題に重点を置いて進め, 本年度は下記のごとく新たな知見, 成果を得た. 1.微小循環調節とその破錠:ハムスター頬袋での微小循環障害において, 白血球 cyclic AMPの変動による細静脈壁粘着, 細胞外遊走が重要な役割を担うことが明らかとなった. この様な微小循環系の破錠による細胞障害の進展には, 局所で産生されるアラキドン酸代謝物質が多大に作用する. 臨床例においてアラキドン酸代謝酵素の蛋白異常を発見し, 同時にアラキドン酸代謝物質(プロスタサイクリン)の安定化因子が抗動脈硬化作用を有するHDLのアポ蛋白のアポA1であることを明らかにした. 2.血栓症・血管攣縮の成立機序の解明・ヒト血小板膜の凝固因子(トロンビン, von Willebrand因子)レセプターの存在様式を検討し, その分子生理機構の異常が血栓形式に密接に関連することを示した. さらに, イヌ実験モデルを用いて血管壁傷害, 血管内血液凝固, 線溶反応の動的過程を血管内視鏡を用いて観察し, 初期病変を司る血管内膜障害(動脈硬化)特に血管攣縮に伴う内皮損傷が血栓形成に重要な役割を果たすことを解明しつつある. 3.臓器潅流異常の解析:in vivoにおける臓器血流・代謝動態を解析する非浸襲的手法(ポジトロンCT, 超音波ドプラ法, NMR)を確立し, 臓器血流の臨床計測への応用の基盤を得た. さらに, 臓器血流の破錠に伴う細胞虚血時の病態現象(不整脈, 細胞壊死)の進展過程をin vitroで電気生理学的手法を用いて検索し, 細胞内Ca濃度と膜電位過分極との関係を明らかにした. これらにより, 諸臓器における循環・代謝連関を究明する大きな糸口を得ており, 次年度においてさらにその機構解明に向けて研究を進める予定である.
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