研究概要 |
本研究の目的は, 分光型センサーの光源としての半導体レーザーの特性, 光ヘテロダイン検波の基礎的研究を行い, 高感度の分子検出法を確立し, ダイオードレーザーを用いた高感度の分光型センサーを開発することにある. (1)分光用半導体レーザー 市販の各種の半導体レーザーの発振波長の温度特性を常温から液体ヘリウム温度にわたり測定した. 温度安定度1mKで90°Kまで温度可変で温度・電流同調が可能な分光用の半導体レーザー光源を開発した. (2)半導体レーザーの第二高調波による分光 赤外領域で発振するレーザーからの内部第二高調波を測定した. 出力パワーは10^<-11>W程度で非常に微少であるが, 10^<-3>程度の吸収をソース変調法により計測できた. その同調性から考えて, 分光分析の光源として十分に利用できることを確認した. (3)高感度光ヘテロダイン分光法 FM変調された半導体レーザー光により吸収を測定すると, 原子分子の吸収のサイドバンドにおける吸収の差により検波器の出力には光ヘテロダインビートが現れる. 光ヘテロダイン検波法に加えて, 分子の吸収を変調し, これと同期して吸収を検出する高感度の測定法を開発した. 酸素分子のような磁気を持つ分子にはゼーマン変調を持い, アンモニア分子のように双極子もつ分子にはシュタルク変調が有効である. ゼーマン変調とヘテロダイン法を用いて, 4cmの吸収セルで酸素の禁制遷移である^3Σ-^1Σ atomsheric bandの回転線を高いSN比で測定でした. この結果より最小検出可能吸収量は10^<-7>程度であると予想される.
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