研究概要 |
光波のもつ多くの情報(位相, 振幅, 偏波, 周波数等)と他の種々の物理量との相互作用を用いて高精度な実時間計測を行う光波利用センシングシステムにおいて, そこに用いられる光回路の集積化は測定システムの小型軽量化, 高性能化および適用範囲の拡大に必要不可欠になると考えられる. 特に, 多くの光波センシングシステムでは被測定物理量と光波との相互作用を光波の位相変化として検出するので, 干渉計による位相差検出光回路の集積化が重要となる. 本研究では, この干渉光学系に要求される単一偏波, 単一モードなどの特徴に加えて光検出器との集積化をも可能にするARROW(共振反射型光波路)を用いて, 2つの光路の位相差を検出する干渉光学系と光検出器を集積化し, 多くの光センシングシステムに汎用的に用い得る干渉計・光検出器集積回路の実現を目指している. 今年度はまず, 光導波路は光検出器とを集積化した場合の高効率結合法について検討し, ARROWと光検出器との集積化で, コア厚が4μm以上の場合でも90%以上の結合効率が1mm以下の短い検出器長で得られることを明らかにした. そして実際のARROWから基板への放射損失特性を測定し, 反射防止層を用いたとき300dB/cm(1mmで結合効率99%以上)を得た. また実際にARROWと光検出器の集積化を試み, 波長0.88μmで総合受光効率約4%(導波路への結合損失および平板導波路内で広がった光と光検出器との結合損失を含む)を得た. 次に, ARROWを用いた光ファイバセンサ用干渉光学系について検討し, デュアルコアファイバと組み合わせた温度センサを試作した. そして, デュアルコアファイバの長さ2mのとき室温に於て0.74πrad/゜Cの検出感度を得た.
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