研究概要 |
Si基板上にGaP/(GaAsP/GaP歪超格子)/(GaAs/GaAsP歪超格子)を中間層としてGaAsを成長させた. 新しい結晶成長装置を使用し, 成長条件を調節することにより, これまで10^6cm^<-2>以上あった成長結晶のエッチピット密度を10^6cm^<-2>以下にすることができた. Si上に成長させたGaAsの上に各種構造のレーザを試作するとともに, 特性比較のため, GaAsバルク基板を用いた同一構造のレーザも作製した. 試作したレーザの室温(293K)パルス動作(パルス幅100ns, 繰り返し1kHz)での特性を測定した結果以下の点が明らかになった. レーザ閾値電流の平均値はGaAs上のDHレーザでは270mA, Si上のDHレーザでは528mA, Si上のMQWレーザでは324mAであった. またTUSレーザの閾値電流の代表値として379mAが得られた. Si上のレーザの最小閾値電流値としてMQW構造(井戸幅37nm)で115mAが得られた. Si上のDHレーザの微分量子効率の最大値は11.5%, MQWレーザでは20.9%であった. 閾値電流の温度依存性を示す特性温度Toの値として, GaAs上のMQWレーザの場合素子温度が35°C以上では80K, 35°C以下では214Kが得られた. 試作したレーザの偏光特性を測定したところGaAs上のレーザは全てTEモードのみで発振していた. これに対してSi上のレーザはクラッド層のAI組成比が0.5以下の場合TMモードのみまたはTE・TM両方のモードで発振している. Si上のレーザでもクラッド層のAI組成比が0.5より大きい場合にはTEモードのみで発振した. Si上のレーザでは結晶内に存在する応力によってTM両モードの利得がTEモードの利得より大きくなること. 及びクラッド層のAI組成比が大きくなるとTMモードの損失が増大することを考慮することによりこの偏光特性を説明できる.
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