研究概要 |
光ファイバを用いた流体センサは絶縁物で構成できるので火花による爆発の恐れがなく, 石油などの液体に対しても安定なので, 石油タンクやパイプライン等の漏油監視を安全かつ確実におこなうことができる. 本研究では, 分布型流体検知センサとして偏心コア光ファイバを用いることを提案し, 理論解析による設計と試作ファイバによる分布計測実験をおこなった. 偏心コア光ファイバに, これよりも屈折率の高い液体が接触すると, コアを伝搬する光エネルギの一部が外部に放射する. 従って, ファイバ中を伝搬する光強度をモニタすることにより液体の検知をおこなうことができる. また, 光パルス試験器と組み合わせることにより液体の付着位置の測定も可能となる. 長距離のパイプラインでは漏油の検出だけでなくその位置を知ることが重要である. 光パルス試験器は, ファイバの一端から光パルスを入射しファイバ内で反射してくる後方散乱光の時間変化からファイバの損失分布などが測定できるレーダに似た装置である. 実験では, 数値解析により設計した長さ420mの偏心コア光ファイバに100mの単一モードファイバを融着接続した全長520mのファイバを使用した. 光パワーメータにより屈折率変化による損失特性など測定した. この実験結果は数値解析による値と良く一致した. また, このファイバを光パルス試験器に接続し, 偏心コア光ファイバの一部に液体を付着させてその位置の検出をおこなった. 液体を付着させるとその点以降の後方散乱光強度が減少し液体の付着位置が正しく観測できた. 今後は, より長いファイバを用いて多数の点での同時液体検知をおこなう予定である.
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