研究概要 |
重力波は, 現代物理学の基幹をなす量子力学と相対論が生まれた今世紀初頭に存在が予言されたものの中で未だに検証されていない数少ないものである. 重力波の存在が検証され, 重力波天文学が開かれれば, 今までその真髄を知ることの出来なかった超新星の爆発に代表される中性子星やブラックホールのような地上では作ることの出来ない高密度星の生成過程を知ることが出来るほか, 宇宙誕生の非常に早い時期の過程をも知ることが出来る. 現在重力波検出用のアンテナとしては共鳴型とレーザー干渉計型があるが, 本研究は後者のレーザー干渉計を用いた重力波アンテナを開発するものである. レーザーを出た光は2つにわけられ互いに直交する方向に伝播して元へ戻り干渉する. 重力波が到来してこの2つの方向の相対距離に差が生ずると干渉の度合が変わって検出できるのである. 本研究では特にレーザー干渉計の重要な課題であるレーザーの周波数安定化を目的として進めている. レーザー干渉計は宇宙研で建設中の10m100回折り返し等価アーム長1kmのマイケルソン型のものを用い62年度は, 4回折り返しによるレーザー干渉計としての基本的な機能の確認を年度前半で終了し, それをもとに100回折り返しの実現, ならびに防振対策に力を入れ, レーザー干渉計の基本的な建設を完了するとともに周波数安定化の為のファブリベロー干渉計ならびに副干渉計の基礎的なデータ取得を行った. この成果をもとに周波数安定化を行い, 本装置の原理的な感度限界であるショットノイズまで全ての雑音源を抑えることによりkHz領域での10^<-18>の感度達成をするための問題点を洗いだした. さらにそれらの基盤に立って次期200mクラスの大型装置の設計検討を行った.
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