研究概要 |
反陽子3GeV/c, 4GeV/cと原子核(Ta)の反応における中性ストレンヂ粒子(K^0_S,Λ)の生成断面積, 運動量等の測定を行った. 4GeV/c反陽子による反応については, 測定が終り, 解析の結果をPhys,Rev C投稿中である. 3GeV/c反陽子による反応については測定が半ば終った. 解析の結果得られた結論は, (1)Λ生成断面積は, 反陽子3, 4GeV/c両反応ともに, 反陽子・陽子反応にそれのそれぞれ,22倍, 11倍と大きく, 原子核反応ではΛは増殖される. (2)K^0_S生成断面積は, ほぼ幾何学的断面積に等しい. (3)2ストレンヂ粒子生成断面積は, K^0_SΛ対生成が幾何学的断面積に比し大きい. (4)Λ^^-の生成断面積は幾何学的断面積に比し, 非常に小さい. (〜10^<-2>倍) (5)K^0_S, ΛのRapidity分布の中心値から求めた, 重心系(K^0_SはP^^-+3N, ΛはP^^-+13N)で, K^0_S, Λともにθ=90°に対し, 対称な角分布をする. (6)2つのストレンヂ粒子同時生成反応では, それらのストレンヂ粒子間に相関はない. (7)K^0_S, Λの運動エネルギー分布から得られた核温度は, K^0_Sでは120MeV, Λでは90MeVである. (8)核温度から, K^0_Sが先ず蒸発し, 次いでΛが反応核より蒸発する. (9)核温度および, K^0_S, Λの運動学的量の分析からは, クオーク・グルオン・プラズマ状態の生成を積極的に肯定する証拠は得られない. 今後, 残余の泡箱写真の測定を行い, 反陽子・原子核反応の理解を深め, クオーク・グルオン・プラズマ状態など相転移について追及する.
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