研究概要 |
1.高出力なカオス光と云う点からモード同期レーザーで励起した同期励起色素レーザー系で, periodic-doubling→多重周期発振→カオスの径路の可能性について基礎実験を試みた. また, レーザーカオスの特性指数を検討した. 2.同期励起色素レーザーでのカオス光発生: 励起用レーザー共振長L, 同期励起色素レーザーのそれをlとすると, 色素レーザーのパルス発生繰返し周波数fは励起レーザーのそれFのm/n=L/l倍となる. 励起光が十分大きいとn=1となり整数m倍の周波数の多重パルスを得る. カオス光発生の一つの径路であるパルス列多重化は共振器長の調整と励起の増して観測できる. モード同期ガラスレーザー(L=1m)の第2高調波(530nm)でロダミン6G色素レーザ(l=0.5m)を同期励起し, 共振器長整合をとり励起光強度を増大させて色素レーザーパルス列を観測した. (1)厳密に共振器長整合(l=L/2)のとき最短20PSのパルス幅を得た. (2)励起光偏光面に平行なパルス成分I〓はレーザー発振閾値を少し越えた所でパルス幅が最短となる. 垂直成分I〓は閾値入力の約10倍附近でパルス幅が最短となる. その間偏光度Pはほゞ一定値を保ちながら僅かに振動している. (3)このように励起光強度の大きい所ではガラスレーザーのパルス数の2倍の色素レーザーパルス列が観測されていて, periodic-doublingの検証を行っている. 3.レーザーカオス光の特性指数:種々のフラクタル次元のうち, 観測できる変数が1つのときは, 2点間相関積分を出力時系列の観測から実験的に求め, それから相関次元D2及び2次エントロピーK2を特性指数にとるのが有効であり, さらに一般化次元Dq, 高次エントロピーKqを用いてカオス状態を比較することを検討している. むすび:同期励起色素レーザーで高出力カオス光の発生観測と特性指数の決定を行い, 多原子分子の励起光として用い光学的応答による分光実験を行う予定である.
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