研究概要 |
本年度は, 初年度に開発した4連続不斉中心の立体選択的構築法の汎用性を調べるため, 8連続不斉中心をもつ, リファマイシンSのアンサ鎖部分の合成を行うと共に, 方法論の改良についても検討した. 1) リファマイシンSのアンサ鎖部分の合成 〔2, 3〕Wittig転位生成物(1)より容易に導かれるホモアリルアルコール(2)を出発原料として用いた. 今回の方法論に従い立体選択的エポキシ化およびエポキシドの位置選択的アルキル化を繰り返して行い, 必要な立体配置を有する化合物(3)に導いた. 化合物(3)は3段階の官能基変換で岸らのリファマイシンS合成における中間体(4)に導かれた. 以上の結果は今回の方法論の有用性を明らかにするものである. 2) α-(ω-ベンジルオキシ)アルケニルオキシ酢酸エステルの〔2, 3〕Wittig転位反応 上記4連続不斉中心構築法の出発原料として用いられたα-アルケニルオキシ酢酸エステルに予め酸素官能基を導入して転位生成物の有用性を高めることを検討した. その結果化合物(5)の転位においては添加する金属イオンあるいは基質の適切な選択によって(Syn, E)一体(6)あるいは(Syn, Z)一体(7)をそれぞれ選択的に作り分けることが可能になった.
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