研究概要 |
キノン類のもつ生体内酸化還元の機能とクラウンエーテル類のもつアルカリ金属および脳内活性アミンの選択的取り込み能を期待してクラウン化キノンおよびクラウン化ベンゾキノンを合成した. その結果, 生体活性アミンであるドバミンやカテュールアミン類の選択的二点での分子認識を分光学的な立場から証明することができた. 一方, クラウンエーテルの新しい利用方法としてFABマススペクトル測定時グリセリンにクラウンエーテルを添加することにより, グリセリン由来のピークが消失し, 良好なスペクトルを得ることにも成功した. 本法によれば, 負イオンスペクトルにおいて種々の生体微量成分であるロイコトリエンC_4, アデノシンシモノフオスフェイト, ロイシンエンケファリンを10mgでも分子イオンを検出することが可能である. 次に, オピオイドの痛み抑制のメカニズムには脳内に存在するオピオイドリセプター細胞膜のナトリウムイオンの透過性が重要な役割を演じている事が示唆されていることから, μ-オピオイドリセプーターに高い認識能をもつモルヒネ分子をクラウン化したクラウン化モルヒネの合成を企図した. その結果, モルヒネの芳香環状にクラウンエーテル環を導入したプローブよりも, モルヒネの6位にペンダント型にベンゾクラウン環を導入したプローブの方が興味深い薬理結果が得られることが判明した.
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