研究概要 |
我々はすでにジフェニルリン酸アジド(DPPA)及びジエチルリン酸シアニド(DEPC)が, 有用なペプチド結合形成反応剤であることを立証して来たが, これら両反応剤を用いた生理活性環状ペプチドの合成を行った. 1.ドラスタチン3の訂正構造の合成 我々は海洋産抗腫瘍性環状ペプチドドラスタチン3の提出構造が誤りであることをすでに明らかにしているが, 最近訂正構造が提出されたので, この訂正構造の合成を行った. 現在天然品との同定を急いでいる. 2.ダイデムニンAの合成 ダイデムニンA, B, Cはホヤより単離された強い抗腫瘍性デプシペプチドである. 我々はダイデムニンAの提出構造の合成を行い, これに成功した. しかしこの合成品は天然品と一致せず, 提出構造に疑問が持たれた. この間に新たに訂正構造が提出された. そこでこの訂正構造の合成研究を行い, 合成品が天然物と一致することを確証した. またこれら合成品について, L1210白血病細胞を用いて, 細胞毒性につき検討し, いずれも強い細胞毒性があることを確認した. 3.アベラニンA, Bの合成 アベラニンA, Bは子のう菌より単離された血圧上昇活性を有する, ユニークな環状ペプチドである. 我々はこの両者の簡便な合成方法について検討し, これに成功した. またこの合成により, 絶対配置未決定であったアベラニンBについて, その絶対配置を確定した. また合成品はいずれも興味ある血圧上昇活性を有することを確認した. 4.アシジアサイクラマイドの配座解析 海洋産抗腫瘍性環状ペプチドアシジアサイクラマイドの溶液中及び結晶状態の配座解析を行った.
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