研究概要 |
反応活性種としての有機ケイ素化合物イオンラジカルの構造と反応性の関係を解明し, 新反応形式の合成反応を開発すること, および新規機能性物質創製のための基礎的知見を得ることを目的として研究を行った. 特に, これまでの知見のない1, 1-ビス(トリメチルシリル)アルケン(cMe_3Si)_2C=CHR;R=H(1__〜), R=CH(CH_3)_2(2__〜), R=C(CH_3)_3(3__〜)のアルカリ金属還元により生成するアニオンラジカルの構造と反応性に関して詳細に研究した. 2__〜および3__〜はジメトキシエタン中カリウム金属と接触させ、比較的安定なアニオンラジカルを生成させることに成功した。ESRスペクトルの解析によって、その不対電子は主として2位のオレフィン炭素上に局在化していることが明らかになった。一方、1__〜のアルカリ金属還元では安定なアニオンラジカルを生成せず、容易に2量化してジアニオン(cMe_3Si)_2C^^<【〇!-】>CH_2C^^【〇!-】SiMe_3)_2、4__〜)を与えることが解った。4__〜は酸素の導入によりすみやかに1__〜に戻るが、アルゴン下室温で安定であった。4__〜はα-シリル置換カルバニオンの部分構造を存するジアニオンであり、その反応性に興味がもたれた。4__〜はホルムアルデヒドやベンズアルデヒドのようなエノ-ル化し得ないアルデヒドと反応し、比較的収率よく2、5-ジシリル-1、5-ヘキサジエンを生成する。4__〜と種々のハロゲン化アルキルの反応では、収率よくアルキル置換体を与えることが解った。ケイ素置換長鎖アルカンを合成する上で4__〜は有用な試薬になり得るものと思われる。4__〜はまた種々のジハロンシラン類と反応してシラシクロペタン誘導体を生成した。例えばH_2SiCl_2との反応により、2、2、5、5-テトラキス(トリメチルシリル)シラシクロペンタンが41%の収率で得られた。この方法を用いてケイ素上にかさ高いビス(トリメチルシリル)アルキル基を一挙に2個導入できることは興味深い。シリレン、シレ
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