研究概要 |
1.Ru(シクロオクタジエンル)_2-PR_3系触媒によるカルボン酸のアセチレンへの付加反応をエノールエステルの一般的かつ選択的な合成法として確立し, また, D化アセチレンおよびD化カルボン酸との反応ならびに速度論的解析を行ない, 配位アセチレンへのカルボキシレートの求核攻撃を経由する反応機構を提出した. 2.Ru(シクロオクタジエン)(シクロオクタトリエン)-PR_3系触媒により, 炭酸ガスと第2アミンとからカルバミン酸エノールエステルが高い選択性で生成することを見出した. 本反応を分子内反応に適用することにより, N-プロパルギルアミンとCO_2とより, 5-メチレンー2-オキサゾリジノンが高収率かつ高選択的に生成した. 3.アニリン類はRuCl_2-PR_3または, RuC1_2(PR_3)_3等を触媒として, 1, 2-および1, 3-グリコール類と反応し, それぞれインドール類ならびにキノリン類を高収率で生成することを見出していたが, 一般的合成法として確立させると共に反応機構を明らかにした. また, オルトニトロトルエンより容易に得られる2-アミノフェネチルアルコールのRuCl_2(PPh_3)_3触媒による無置換インドールへの変換反応が温和な条件下で定量的に進行することを見出していたが, その適用範囲の拡大を図り, 芳香環に種々の置換基を有するインドールの合成に成功し, その反応機構を明らかにした. 4.前年度オレフィンのヒドロアミド化反応が, Ru_3(CO)_<12>触媒により可能となることを見出したが, 本年度はホルムアミドがオレフィンに接触的に付加することを見出した. 例えばN-メチルホルムアミドはシクロペンテンに付加し, N-メチルシクロペンタンカルボン酸アミドが90%の収率で得られた. また芳香族アルデヒド, ギ酸エステルも同触媒によりオレフィンに効率良く付加することを見出した. これらの反応は低原子価ルテニウム錯体に特有な反応であり, 16電子不飽和ルテニウム錯体に特徴的な触媒機能を明らかにした.
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