研究概要 |
昭和61年度は典型元素化合物に遷移金属のもつ特性を加味する目的で, ポリインポリマーの規則的な位置に, 典型元素と遷移金属を導入したポリマー錯体を合成し, キャラクタリゼーションを行った. 本年度は, これらのポリマー錯体の機能化の基礎研究として, 種々の低原子価金属錯体との高分子反応によるクラスターポリマーの合成や, そのモデル反応および得られたポリマー錯体の物性や機能を研究した. 1.ポリマー錯体と遷移金属錯体との高分子反応 ポリマー錯体の主鎖のアセチレン基と種々の遷移金属錯体との反応を研究した. 主鎖にジエチニルジシロキサン基を有する白金ポリマーは, 銅やパラジウムとキレート型ポリマー錯体を生成し, 主鎖にビスジメチルシリルジアセチレンジイル基を有する白金ポリマー錯体とジコバルトオクタカルボニルとの反応では, アセチリド基は全く反応せず, ジアセチレン基のみに選択的にコバルトが配位した緑色の製膜性のよいポリマー錯体(I)が得られた. 2.ポリマー錯体のクラスター化のモデル反応 ポリマー錯体のモデルとなる単核の白金アセチリド錯体を合成し, 種々の遷移金属錯体との反応を研究した. また高分子反応によるクラスター合成反応のモデルとなる7種のヒドロシリルアセチレン誘導体を合成し, アセチレン基とヒドロシリル基のコバルトカルボニルに対する反応性を比較し, 生成したクラスター錯体の 子スペクトルから金属間相互作用の有無を検討した. 3.物性と機能 合成したポリマー錯体の中で, 白金ジシロキサンポリインポリマーの塩化メチレン濃厚溶液が, リオトロピック液晶になることが偏光顕微鏡による観察で明らかになった. またクラスター錯体ポリマー(I)の膜および錠剤の電導性は, ヨー素ドープによりσ=3×10^<-5>Scm^<-1>の値を示した.
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