研究概要 |
高酸化活性フラビンモデル化合物(ブンゾージプテリジン, BDP)を用いて, 次の二つの新規モデル反応を開発した. 1.N-ニトロソアミンの酸化的脱アルキル化 N-ニトロソアミンの代謝は通常肝ミクロソーム中, チトクロームP-450によって, α-位が水酸化され, 脱アルキル化されて進行すると考えられているが, α-位にCN基を導入した2-(N-Nitrosalkylamino)acetonitrile(RN(NO)CH2CN)を用いると, BDPで容易に酸化され, α-位が水酸化され, 脱アルキル化されることがわかった. 生成物, 速度論的検討の結果ニトロソ酸素がBDPの4ce-位を求核的に攻撃し, 付加体形成後, 酸化が進行することを明らかにした. 2.亜硫酸イオンの酸化 APS-レダクターゼはFADと非ヘム鉄を含むフラビン酵素で, 硫黄代謝サイクルの重要な中間体である亜硫酸イオンの酸化還元を触媒する. 高酸化活性フラビン(BDP)を用いると, 水中で亜硫酸イオンと付加体形成後, 一分子的に分解して三酸化イオウを生成する. 生成物, 速度論的検討により, その機構を明らかにし, APS-レダクターゼのモデル系を開発した.
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