研究概要 |
センサとして機能性タンパク質を用いるとき, 改良し, 安定性, 高機能性を持つタンパク質を作ることが必要である. しかしながら現在, まだどのようにすればそれが達成されるか分かっていない. そこで本研究では, 光電変換という機能を持ち, しかも安定なバクテリオロドプシン(bR)を用いて, その機能の内部機構を解明し, またbRの安定性の秘密を構造の面から解明することを目的としている. 本年度はバクテリオロドプシンのタンパク質部分(バクテリオオプシン, bO)を大腸菌に作らせるべく, バクテリオロドプシンをコードするDNAを発現ベクターPUC18に組み込んで大腸菌での発現を試みた. ます, プラスミドPUC18を制限酵素EcoRIとHindIIIとで切断し, そこへXmaIII, AccIIIsiteを持つ合成リンカーDNAを繋ぎ, それを用いて大腸菌を形質転換させる. 形質転換菌からプラスミドを取り, 制限酵素XmaIIIとAccIIIで切断する. 他方バクテリオロドプシンDNAを制限酵素XmaIIIとAccIIIで切断し, PUC18の合成リンカー部分にあるXmaIII, AccIIIsiteに入れた. バクテリオロドプシンに対する抗体で発現を調べたところ発現していることが確認された. しかし量的には少なく, 現在改良中である. 本年度, 他の研究の過程でbRが湿気センサとして使える可能性が見つかったので, それについても報告する. 分離精製した紫膜を脱気乾燥すると, スペクトルが短波長シフトする. この変化は可逆的であり, 周囲の湿気に対応して色が変わる. 色変化又は580nm付近の吸光度変化をモニターすることによって, 湿気センサとして利用できる可能性がある. しかしながらこの乾燥による反応はスペクトル変化から判断して2つ以上の反応を含んでおり, 定量的な湿気センサとして使用する場合には工夫が必要である.
|