研究概要 |
高温ガス中の水素あるいは水蒸気活量をその場で直接測定するためのセンサ素子として, 高温型プロトン導電性固体を用いたガルバニ電池式センサを考え, 昨年度の研究においてそのような機能をもつことを確認したBaCeO_3系セラミックスを用いて種々のタイプのセンサを試作し, その特性について検討した. 得られた成果を要約すれば次のようになる. 1.水素センサの試作とその特性…BaCe0.9Nd0.1O_<3-α>組成の高温型プロトン導電性セラミックスに白金電極を取付け, 1気圧水素を基準ガスとしたセンサを試作し, 数100°Cの高温でこれに種々の水素濃度の被検ガスを導入したところ, 水素分圧10^<-3>気圧までは水素濃淡電池の理論値にほぼ一致した安定な起電力応答を示した. その応答速度は十分速く, 95%応答に要する時間はガスの入替え時間を除けば数秒以内であった. このセンサは200°C程度の温度においても良好な特性を示すことがわかった. 2.水蒸気センサの試作とその特性…上記と同じ構造で基準ガスとして一定の水蒸気を含む空気を用いたセンサを構成したところ, このセンサは950〜400°Cで被検ガスの空気中の水蒸気分圧に応じて迅速で安定な起電力を示すことがわかった. 3.BaCeO_3系セラミックスのプロトン導電性発現機構の解明…このセラミックス中に出入りする水素および水蒸気量を各種条件下で測定し, その量とプロトン導電率との関係を定量的に検討して, センサ構成時におけるプロトン導電性発現の機構を解明する手がかりをつかんだ. 4.計測システムへの組込みの検討…低水素(または水蒸気)濃度における起電力応答の直接性からのずれを系統的に検討し, これらのセンサを計測システムに組込む際に必要な出力信号の規格化のためのデータを集積した.
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