研究概要 |
トロポニンC(TnC)について, 2次元NMRを用いてアミドプロトン及びαプロトンのシーケンシャルアサインメントを試みた. Cドメイン及びNドメインのカルシウム結合部分のGlyを含むいくつかの残基が帰属された. Ca^<2+>結合状態でCドメインの2つのCa^<2+>結合部位の間にβ構造があり水素結合が2つあることがわかった. Nドメインについてはアポ状態で, 対応する部分にβ構造と水素結合が2つあることがわかった. Mg^<2+>イオン結合について調べた. 従来, Mg^<2+>はCドメインのみに結合するといわれていたが, Mg^<2+>滴定によるNMRスペクトルの変化からは両ドメインに結合することがわかった. 結合部位はMg^<2+>-Ca^<2+>2重滴定でCa^<2+>結合部位と同一であることがわかった. カルモデュリン(CaM)については, マストパラン(MP)及びミオシン軽鎖キナーゼのアナログであるM13の結合を調べた. Ca^<2+>の代わりにCd^<2+>を用いCd^<2+>のNMRスペクトルを測定した. MPあるいはM13が存在していない状態でCaMにCd^<2+>を加えると, 最初の2モルまでの間に2本のCd^<2+>シグナルが現れ, さらに加えてもスペクトルに変化がなかった. 4モルのCd^<2+>が結合することが知られているので, Cドメインにはゆっくり交換しながら結合しており, Nドメインには速い交換をしていることを示している. MPが存在すると, Cd^<2+>の添加にともなって, 中間状態のピークが現れ, 最終的には4本のピークになった. M13存在下では, 最初から4本のピークが現れ, 両ドメインに結合していることを示している. MPあるいはM13が存在するとNドメインとCドメインの間に相互作用が生じることがわかった.
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