研究概要 |
ヌクレアーゼ様E群コリシンはプラスミドによりSOS誘発合成され, 感受性大腸菌表層のレセプターに結合したあと, 最終的には. DNase活性(E2, E8)あるいはDNase活性(E3, E6)により菌を殺す. 酵素活性はC末端の"T2A"領域に局在しており, 各T2Aに特異的なインヒビターImm蛋白質により生産菌は致死とならない. 一次構造の比較から, 各プラスミドはT2A-Imm遺伝子領域を変化させて, E2【tautomer】 d8→E3→E6と進化したと推定したが, T2AとImm領域には各結合特異性を反影した特殊な共進化が働いたと推定された. 1.上記の共進化モデルをもとに, CQZE3-immE6ハイブリッドプラスミドを作製して, コリシン発現条件で致死とならないプラスミド変異を分離することにより, T2AとImm間の相互作用を遺伝子側から解析しようとした. 前年度は, この方法でImmE3上の84アミノ酸中, Cys-48がE3特異性に決定的に重要であることを示したが, 今年度はコリシン側の変異を求めた. しかし得られた三つの変異体はナンセンス変異か, ミスセンスでコリシン活性そのものが低下する変異で, Immとの相互作用が変化したものは得られなかった. Cys-48と相互作用するアミノ酸は, COZE6-immE3プラスミドを出発としてimmE3株を殺せなくなったコリシンE6変異体として固定されるものと思われる. 2.前年度, immE3とimmE6の間で6種のキメラimm遺伝子を作製したが, 今年度はそれらのE3, E6に対する耐性度を定量化して, 各アミノ酸の寄与を評価した. 即ち, ImmE3ではCys-48が, 他のE3型アミノ酸すべてを結合したものよりE3特異性への寄与が大きいことを確認し, 更にImmE3ではGlu-20が, またImmE6ではHis-6とTrp-48が, 相乗的に働いて各結合特異性を決定していることが示唆された. 今後, これらキメラ蛋白質や野生型のT2A及びImm蛋白質を精製して, NMR等により物理化学的にT2AとImmとの相互作用を解析していく予定である.
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