研究概要 |
1.配向系偏光解消システムの開発 回転式試料ホルダーを内臓した大型キュベットを試作し, 任意の方向に配向させた試料を対象に蛍光偏光解消, 燐光偏光解消の測定を行なえるようにした. 空間的一様性の保証されない配向試料に対処するため, 2本の光電子増倍管で偏光成分を多重測定することにより系統誤差を除去する方法を考案し, そのためのデータ解析プログラムを完成させた. 2.収縮装置の研究 筋線維中のミオシン分子頭部を色素エオシンで選択的にラベルし, 上記システムで解析を行なった. まず硬直状態の筋では, ミオシン頭部の長軸がアクチン線維に約48度の角をなして結合していること, その結合は固く, ミオシン・アクチン両フィラメントが10nmずれる程度引張ったのでは結合角が変わらないこと, などがわかった. 次に弛緩状態では, すでに合成ミオシン線維, 筋原線維につき報告したものとよく似た頭部の揺動が見られた. 配向試料ではこの揺動の軸が筋線維内でどちらを向いているかという情報が得られるが, 予想に反して, この軸は全くランダムに分布しているように見えた. これが唯一の解釈であるかどうか, 今検討中である. 張力発生中の筋からの信号は, 硬直状態と弛緩状態の中間であった. 3 紫膜の構造解析 配向紫膜上での蛍光エネルギー移動速度の解析により, 紫膜中のプロトンポンプ蛋白質バクテリオロドプシンの活性中心レチナールが, 紫膜の細胞質側表面から1.0±0.3nmにあることを示した.
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