研究概要 |
中枢神経系におけるCaの役割は最近注目されている. 特に可塑性との関連についてはCa結合蛋白質, リン酸化蛋白質の存在様式と結びつけられる可能性がある. しかしカルモジエリン(CM), S-100蛋白を除いてはあまり研究が行われていない. 我々はすでに小脳でいわゆるビタミンD依存性Ca結合蛋白質の精製とその一次配列を決定したが, その時30KダルトンのCa結合性蛋白質をCaオートラジオグラフィーで認めたのでその精製にとりくんだ. 牛小脳をEGTA存在下低イオン強度下で抽出し, 硫安分画で70%飽和から100%飽和分画をとる. ついて陰イオン交換カラムでCaオートラジオグラフィーを参考にしつつイオン強度で流出させるとCMよりさらに高イオン強度で流出される蛋白質があった. しかしこの分画は多量の核酸を含んでおり, DNAseで分解されず, RNAseで分解されるのでRNAであることがわかった. この後HPLCゲル濾過すると30Kダルトンの蛋白質が精製された. 内在性テロシンのCa依存性を調べると半位置で3×10^<-6>Mであった. さらにいわゆる28KダルトンのビタミンD依存性Ca結合蛋白質と比較すると上記の変化もSDSPAGEの位置, Ca有無による変化, 全てで異っている. 28Kの抗体で免疫転写法で染めても染まらない. さらに塩酸加水分解によるアミノ酸組成を調べてみると, この30K蛋白質はロイシン, グルタミンーグルタミン酸, アスパラギンーアスパラギン酸の異常に多い特殊な酸性Ca結合蛋白質であることがわかった. 現在抗体を作製中であり小脳中の局在決定を行い, さらに部分アミノ酸配列からオリゴヌクレオタイドプローブを作製し, cDNAクローニング, 遺伝子クローニングを行っていく予定である.
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