研究分担者 |
細井 洋子 東洋大学, 社会学部, 教授 (80073633)
新屋 重彦 成蹊大学, 文学部, 助教授 (40151170)
高橋 栄 流通経済大学, 社会学部, 教授 (20216716)
西村 洋子 創価大学, 文学部, 教授 (00063892)
星野 周弘 科学警察研究所, 防犯少年部, 部長
吉兼 秀夫 (財)環境文化研究所, 研究員
水谷 史男 明治学院大学, 社会学部, 専任講師 (90157503)
清水 新二 大阪市立大学, 生活科学部(昭和63年10月より東京精神, 助教授(研究員) (40113493)
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研究概要 |
戦後の東京と大阪市の大都市圏には様々な種類の都市問題が発生した。これらはいくつかの課題に分類できる。すなわち,基礎的都市構造,健康問題,行動問題,家族問題,地域問題などある。 各課題は時代の変遷とともに大きく変化した。産業は技術革新とともに驚くべきほど発達したし,人口が増加し人口移動も激しくなった。都市地域は,工業地域,住宅地域,そして繁華街,業務地帯へと機能的に分化した。精神的,身体的な健康問題は重大となり,犯罪,非行,売春などの行動問題,単親家族,老人世帯,離婚,家出などの家族問題,ドロップ・アウト,暴力,いじめなどの学校問題は1970年ごろより深刻化した。住宅問題は昭和30年代までは不良住宅問題が中心であったが,その後,都市計画や住宅建設が進歩するなかで,こうした問題は解消し,山谷地区や愛隣地区みられる簡易宿所街がその名残りを示すのみとなった。今日の住宅問題は住生活要求水準の向上のなかで,住生活に対する不満感が増大している。環境問題は大気や水質の汚染問題や交通事故などが大きな問題となっている。 東京と大阪との比較は,いずれも巨大都市ということで同様な都市問題を発生しているが,発生状況やその背景にはかなりの相違がある。基本的な点は、東京は政治,行政,文教的な性格が強い都市であるのに,大阪は文字通りの産業経済都市であり,そうした相違が都市問題の発生状況に影響をあたえているのである。これらの2つの都市は戦後の急激な変化のなかで,いくつかに時代区分ができ,その時代ごとに都市問題の発生状況が様々あるので,この状況を解明するのが大きな課題となる。 わが国社会の社会問題が集中的に発生しているのは,これら二つの都市であるので,これら2つの都市の問題の解明がわが国の社会問題の鍵となる。
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