研究課題/領域番号 |
62301061
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
基礎法学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
石川 武 北海道大学, 法学部, 教授 (20000648)
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研究分担者 |
石部 雅亮 大阪市立大学, 法学部, 教授 (90046970)
石井 紫郎 東京大学, 法学部, 教授 (00009797)
山田 欣吾 一橋大学, 経済学部, 教授 (70017523)
成瀬 治 成城大学, 文芸学部, 教授 (70011278)
小菅 芳太郎 北海道大学, 法学部, 教授 (00000654)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
1988年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1987年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | 国家 / 裁判 / 公法と私法 / 刑罰 / 国制史 / 概念史 |
研究概要 |
この2年間の研究成果は、主として裁判制度、刑罰、公共の観念にある。 まず、裁判制度については、裁判と法との概念的関連がより明らかになってきた。ザクセンシュピーゲルの分析を通じて、相続によって得られる生得のレヒト裁判に参加する(原告、証人、参審員として)資格があり、有罪判決を受けることでレヒトを失うとは、こういった資格を子々孫々に渡って失うことである。また「不名誉」は、個人限りで資格を失うことである。これらとローマ法の類似の制度との類似の制度との関連の研究は今後の課題である。裁判制度については、その他に中世学職法に由来する諸制度が個別的研究されたが、そこでの大きな特徴は教会法の先行という現象である。教会に学識者がより多くいたということの他に、教会権力に懲戒権と「罰令権」があり、両者の違い、後者における社会性、手続きの重視が大きな意味をもったのではないかと考えられる。 第二に刑罰について、ゲルマニストの追放刑から実体刑罰へというシェーマは取り得ない。追放は贖罪へと強いるための手段であり、これに対して刑罰は、私的な和解(贖罪)では達成できないより公共的なもののために導入された。ゲルマン諸部族のレゲスは、このことを明らかにするが、それは具体的には、フェーデの禁圧(平和)、裁判制度の運用の確保、性的秩序の維持を目指すものであった。 第三に公共の観念については、これが基本的にはpopulus(人民全体)のという意味であり、そのことはとりわけ「公共の利益」の観念に見て取れる。この語は、「人民の福利」=平和を達成する裁判と深い結びつきをもち、中世後期から近世にかけてはとりわけ裁判制度の整備立法に用いられた。 今後は、引続き裁判制度の研究を進めるとともに、その背景にも研究を進めて行ればと考えている。
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