研究課題/領域番号 |
62304004
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
植物生理学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
吉田 静夫 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (90001651)
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研究分担者 |
松尾 友明 鹿児島大学, 農学部, 助手 (90041673)
関谷 次郎 岡山大学, 農学部, 助教授 (10035123)
村田 紀夫 岡崎国立協同研究機構, 基礎生物学研究所, 教授 (90011569)
坂田 亮 慶応大学, 理工学部, 教授 (10051020)
伊藤 精亮 (伊藤 清亮) 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (30003099)
菅原 康剛 埼玉大学, 理工学部, 助教授 (70114212)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
17,500千円 (直接経費: 17,500千円)
1989年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1988年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
1987年度: 8,000千円 (直接経費: 8,000千円)
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キーワード | 低温傷害の機構 / 凍結傷害の機構 / 膜脂質相転移 / 液胞膜と低温傷害 / 液胞膜プロトン輸送と低温 / グリセロ-ル-3-リン酸アシルトランスフェラ-ゼ / 酵素の精製とcDNAクロ-ニング / 液胞膜H^+-ATPaseとH^+-PPase / 飽和極性脂質分子種 / 液胞膜プロトン輸送の温度依存性 / 低温慣化の機構と細胞膜 / 低温傷害 / 凍結傷害 / 飽和脂質分子種 / 液胞とH^+-ATPase / スフィンゴ糖脂質 / 電子顕微鏡 / ^<31>P-NMR / 相転移 / ^<31>PーNMR / H^+ーATPase / スフィンゴ脂質 / 脂質合成酵素 |
研究概要 |
1)低温傷害の分子機構:植物の低温傷害の原因は、a)葉緑体膜の飽和リン脂質分子種(dipalmitoyl phosphatidylglycerol,DPPG)の低温による相分離と光合成機能の損傷、およびb)液胞膜プロトン輸送の低温による機能損傷と細胞内イオン環境の攪乱によることが明かとなった。DPPGの生合成を支配するglycerol-3-phosphate acyltransferaseはカボチャ子葉から精製され、cDNAクロ-ニングとその全塩基配列が決定された。また、ヤエナリの液胞膜からH^+-ATPaseとH^+-PPaseが可溶化精製され分子構造が明らかにされた。H^+-ATPaseの低温による失活は合計10個からなるsubunitのうち57,68および32KDaの三つのsubunitが解離することが原因と推定された。低温によりDPPGが葉緑体膜中で相分離を起こすことがミリ秒領域の遅延蛍光解析で実証され、また、液胞膜のプロトン輸送機能の低温による損傷が細胞質を酸性化させることが蛍光プロ-ブ法と^<31>NMR法で確かめられた。 2)凍結傷害ならびに低温馴化の機構:電子顕微鏡を用いた研究により、凍結傷害は細胞膜の分子構造の変化と密接に関連していることが明確となった。細胞凍結によりもたらされる細胞膜の構造変化は多様であり、凍結傷害の機構も多様性のあることが示唆された。凍結による細胞膜内蛋白質粒子の凝集とラメラ相からHexagonal_<II>相への相転移は、凍結脱水による細胞膜分子からの奪水と細胞外に形成される氷晶による機械的なストレスの二つが原因である。一方、植物の低温馴化の過程では細胞膜蛋白質組成の変化とリン脂質相対含量の増加に代表される分子的再編成が進行し生体膜の安定性を高める上で重要な役割を持つと考えられる。
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