研究概要 |
半導体中の結晶欠陥に関する確実, かつ, 詳細な知識を総合的に確立することにより, 電子デバイスにとって最適の半導体材料技術の開発を可能ならしめることを目的として, 半導体の結晶欠陥の研究を科学研究費補助金「重点領域研究」として, 昭和64年度よりスタートにさせるための, 十分な調査と, 情報交換を行い, 申請書を完成, 文部省に提出した. 研究分担者が, それぞれ, 各自の専門分野を担当して, (1)結晶欠陥の原子的ならびに電子的構造の調査と研究企画, (2)結晶欠陥の電気的, 光学的作用の調査と研究企画, (3)結晶欠陥の発生および変成に関する調査と研究企画, (4)結晶育成およびデバイス製造工程における欠陥発生の調査, および, (5)デバイス機能と結晶欠陥との関係に関する調査を行い, 昭和62年12月9日〜11日に発表会を開催し, 報告と討論を行った. その結果にもとづき, 申請すベき重点領域研究の題目を, 「IV族およびIIIーV族半導体中の欠陥反応と物性制御」として, 全体的な研究計画をまとめることに成功した. 研究の題目を上記のように設定した理由は, 半導体中の結晶欠陥や不純物の原型の種類や作用が限られているにもかかわらず, 現実に見られる欠陥物性が複雑なのは, 種々の環境の下で進行するそれらの反応に起因すると結論されたからである. 申請した重点領域研究においては, 計画研究を次の4つの主要研究項目より構造した. (A)線欠陥および面欠陥における反応と物性, (B)元素半導体中の構造的点欠陥, 不純物の反応と物性, (C)化合物半導体中の構造的点欠陥, 不純物の反応と物性, (D)半導体中の欠陥反応の理論. このほか, 公募研究をも募り, 研究目的に合致した幅広い研究体制を作り上げることや, 各研究グループ間の連絡を密にして, 研究活動の有機的連携をはかるための組織を作ることも決定した.
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