研究分担者 |
吉田 宏 北海道大学, 工学部, 教授 (20027410)
志田 忠正 京都大学, 理学部, 教授 (60025484)
東村 武信 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (20027395)
佐藤 伸 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 教授 (30016042)
宮崎 哲郎 名古屋大学, 工学部, 助教授 (90023126)
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研究概要 |
1.水素原子・分子反応の研究. 極低温(〜4K)における固体素水(H_2,D_2,HD)中における水素原子(H)および重水素原子(D)の反応を実験的,理論的に研究した. ガンマ線照射によりHまたはD原子を生成させ, それらをESRで観測し, その量の時間的変化を追跡した. 測定結果の解析から反応速度定数を求め, 一次元モデル計算と比較し, 極低温におけるこの反応が量子力学的トンネル効果によるものであることを実証した. 更に, 遷移状態理論を用いて速度定数を定式化し, 極低温においてウィグナーしきい則が成り立つことを示した. また, この速度式を用いて固体水素中のHおよびDの減衰速度を計算し, 実験結果をほぼ説明することができた. 2.ラジカルイオンの研究. 六フッ化水素, フレオン等の極低温マトリックス中では, アルカンのラジカルカチオンにおいて特定のヤーン・テラー歪み構造のみが安定であることをESR測定により示した. 更に, 部分重水素化したエタン, シクロプロパンのラジカルカチオンにおいて, 歪み方に同位体位置選択性が現われることを見出した. 4Kおよび77Kにおいてヘキサトリエン, オクタテトラエン等の共役ポリエンラジカルカチオンが蛍光を発することを観測し, 無輻射緩和, 電荷移動を含む分子内および分子間エネルギー移動過程を明らかにした. 3.溶媒和電子およびイオンの研究. 77Kにおいて, 塩化ベンジルを含むエタノール溶液にガンマ線と近赤外光を同時照射すると, ガンマ線のみの照射に比ベて溶媒和電子の生成量が増加することを見出した. 4Kでは極性および無極性マトリックス中で, 77Kでは無極性マトリックス中でビフェニルアニオンは全吸収スペクトル領域で光ブリーチされた. 2ーメチルテトラヒドロフラン中では500nm以下の光でのみブリーチされたが, これをアニオンの溶媒和により説明した.
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