研究概要 |
本研究は, 各分野の有力な研究者を移集して組成および構造面で十分に制御されたセラミックスの界面における物質輸送, すなわち電子やイオンの輸送およびクラックの伝搬現象を反応論, 平衡論, 物性論および破壊力学などを用いて総含的に解明, 整理し, 信頼性のある高度な機能を持つセラミックスを開発する手法を体系化することにより, セラミックスに関する研究を飛躍的に前進させることを目的として行った. 研究の効率化を図るため, 研究グループを1)界面制御のためのプロセシング, 2)界面構造の複合・ハイブリッド化, 3)界面の電子輸送現象, 4)界面のイオン輸送現象, 5)界面の応力・クラック伝搬現象の5つに分けて行った. 1では, SCウィスカーーTSZ分帯の界面反応の制御, ANセラミックスの粒界制御と熱伝導性, 有機金属化合物からのトポタクティック反応による超伝導酸化物の調整などに関する研究を行い, プロセシング手法の開発と検討を行った. 2)では, レーザCVD法によるSC薄膜と基板界面の問題, イオン注入による表面改質, 気相反応法によるSC中空状微粒子の合成等に関する研究から, 界面の複合化, 改質が物性に及ぼす影響を検討した. 3)では, セラミックヘテロコンタクトにおける導電現象と界面輸送現象の概念の体系化, 高キュリー点PTCR材料の粒界挙動と導電性, 超伝導セラミックスの微細構造と臨界電流密度の相関等に関する研究を行い, 新機能発現の可能性と性能効上が界面に依存することを提案した. 4)では, βーガレートのイオン伝導, 多孔質水酸アパタイトの表面伝導とセンサ特性, ガラス融液と導電性固体の界面反応の研究を行い, イオン輸送を基礎科学的に検討した, 5)では, セラミックス中のガラス層の組成変化と破壊, MgOの界面エネルギー, 界面の破壊機構に関するシミュレーションおよびモデル実験を行い, 界面破壊の基本的挙動を明らかにした.
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