研究分担者 |
田代 裕 関西医科大学, 生理学, 教授 (40077558)
市原 明 徳島大学, 酵素科学研究センター, 教授 (40035374)
内田 驍 大阪大学, 細胞工学センター, 教授 (40029781)
谷口 維詔 大阪大学, 細胞工学センター, 教授 (50133616)
松原 謙一 大阪大学, 細胞工学センター, 教授 (20037394)
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研究概要 |
現在のバイオサイエンスのストラテジーは, 生物現象の適確な把握と, それに関与する機能単位の遺伝子レベルでの選別, 機能因子の解析とから成立っている. このストラテジーは直裁的であり, したがってこの推進には, 生きている細胞を如何に上手にハンドリングするかという技術開発の工夫が必須となっている. 本研究班は細胞生物学のエキスパートである夫々の班員のこの方面での工夫を披露し, その利用範囲の巾を検討してゆく事を主眼にした研究組織である. 主な技術開発は以下のようなものである. (1)増殖因子とそのレセプターを介するシグナル伝達は現在の細胞生物学の主要課題の1つであるが, 蛙卵に目的のレセプターを発現させ, リーガンドにレセプターとの結合により誘起されるイオンポンプの活動を電気的にとらえる方法が, レセプターmRNA,cDNAの選別に極めて有効である事が示された. この方法は広い範囲で応用が可能という討論があった. (2)赤血球ゴースト法, 或はリポゾーム法によって細胞質中に注入された任意の物質を核内に移行させる事が, 核膜ポア通過シグナルを物質に結合させる事で実用段階に入った. 細胞の遺伝子レベルの治療への広がりが期待された. (3)RSVの濃度感受性変異株でトランスフォームされた筋原細胞は, 35℃では筋肉細胞への分化が抑えられるが40℃に移行すると同調的に融合して筋肉細胞に分化することが示され, 膜融合解析の恰好のモデルにして注目された. (4)リン脂質合成酵素欠損変異細胞がSindbisウイルスの感染ステップ(エンドゾームとの融合)を抑える事が示された. 新しい膜系疾患モデルの一つと考えられる. その他細胞骨格系, 細胞小器管と細胞の分化, 細胞分裂などに焦点をあてた細胞工学的工夫観察が示され, 夫々の班員が夫々の研究を推進する場合の有用な示唆が多数示され, 誠に有意義であった.
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