研究課題/領域番号 |
62410007
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
文化人類学
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
牛島 巌 筑波大学, 歴史人類学系, 教授 (10091886)
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研究分担者 |
今村 文彦 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 講師 (50213244)
飯島 吉晴 筑波大学, 歴史人類学系, 講師 (30184344)
高桑 守 筑波大学, 歴史人類学系, 助教授 (60127769)
佐野 賢治 筑波大学, 歴史人類学系, 助教授 (90131127)
関 一敏 筑波大学, 歴史人類学系, 講師 (50179321)
宮本 袈裟雄 武蔵大学, 人文学部, 教授 (40015889)
北見 俊夫 筑波大学, 歴史・人類学系, 教授 (60110574)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
9,100千円 (直接経費: 9,100千円)
1989年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1988年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1987年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | 伊豆諸島 / 世界観 / 空間認識 / 儀礼 / 民俗変容 |
研究概要 |
伊豆諸島の島世界に関する3か年の調査研究によって明かになったのは、次の諸点である。 まず、生業、儀礼、祭祀などに見られる民俗的対称性は、島修験や神官の関与を経ながら、七島を束として捉えうる島世界を形成してきた。それは、各島にある山を中心としたコスモロジ-を描いており、島全体の小世界である村落においても重層的に展開している。これは海上他界を設定する南西諸島のいわば「開かれた」島社会に対して、山中他界を設定する「閉じた」島社会としての性格を持つ。具体的には儀礼の執行者や村内の神仏、山と海への観念などに如実に表れている。 次に、生産の諸活動についての調査に際して、島のさまざまな場所に関する人々の意識が明かになった。それによって、民俗的世界の集落・境界・異界といった空間のカテゴリ-は、生産・社会・儀礼などの諸側面と深くかかわっていることが、具体的に判明した。いわば、「語られた」「記憶された」空間を提示できたと考える。例えば、生計活動を中心とした多岐にわたる空間での活動を反映して、不思議な場所に関する伝承が生み出されたり、歴史認識の差異が空間認識の異なった伝承として記憶されることなどが挙げられる。 さらにこれらの空間認識が、祭祀の構成を規定することによって、逆に空間に対する記憶を新たにしていく。 一方、伊豆諸島の民俗的世界の組み立てを超越するような存在として、海からの来訪神をめぐる儀礼の存在を指摘することができる。これらは南西諸島に卓越した神霊観とは明かに異なっている。 空間と儀礼の関係によって描き出される島世界の民俗的組み立ては、以上のように、伊豆諸島全般の民俗的対称性とともに、民俗文化間の「ずれ」をも示しているのである。
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