配分額 *注記 |
27,200千円 (直接経費: 27,200千円)
1989年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
1988年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
1987年度: 20,000千円 (直接経費: 20,000千円)
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研究概要 |
有機銅-βF_3複合反応剤とγ-メシロキシα,β-不飽和エステルとの反応により、アンチSN2^1型式で反応したα-アルキルβ,γ-不飽和エステルが得られる。この1,3-キラリティ転写は超高収率超高選択的に進む。この方法を用いて3級及び4級炭素中心での不斉誘起を行なった。また、非対称ジビニルカルビノ-ルの不斉合成にも成功した。現在はこの手法をペプチドイソスタ-の不斉合成に応用中である。γ位に不斉点をもつαβ不飽和エステルへの有機銅の共役付加により1,2-不斉誘導が発現するが、このジアステレオ選択性について系統的に研究した。γ-ベンジロキシ誘導体ではオレフィンのE,Z立体化学が生成物の立体選択性を支配することを見い出し、これにより新しい不斉誘導のモデルを提案した。また、γ位にフエニル基とメチル基を有する系では、反応試剤の種類により立体選択性が支配された。すなわち、7プラ-トではシン体がアルキル銅ではアンチ体が得られた。このことより、一電子移動を経る場合と通常の求核付加とでは立体選択性が異なると判断した。同様な観測は共役還元でも認められ、ヒドリド還元と一電子移動還元とでは立体選択性が逆転した。このことから1,2-不斉誘導および不斉還元の新しいモデルを提出した。有機金属-ルイス酸複合系とアシルイミニウムイオンとの反応により高い非環状系立体制御が達成できることが判明した。またイミニウムイオンのα位に不斉点をもつ場合は、高い1,2-不斉誘導が起こった。以上の反応を利用してスタチンの合成を行なった。また有機鉛-ルイス酸複合系がこの様な1,2-及び1,3-不斉誘導に極めて有効であることも判明した。リチウムNベンジルトリメチルシリルアミド(LSA)がα,β不飽和エステルの立体選択的共役付加反応剤として有用であることを見い出した。これを用いてE,Z-エノラ-ドの立体分枝合成が100%の高選択性で達成できた。
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