研究課題/領域番号 |
62430024
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
製造化学・食品
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
矢野 俊正 東京大学, 農学部, 教授 (00011867)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
19,400千円 (直接経費: 19,400千円)
1988年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1987年度: 17,000千円 (直接経費: 17,000千円)
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キーワード | フラクタル / 米粉 / 小麦粉 / コーンファイバー / 構造解析 / 粉体食品 / 粉乳 / 粉砕エネルギー則 / 脱脂理理 / 水分収着 / 細孔構造 / 比表面積 / 細孔分布 / フラクタル次元 / 脱脂処理 / 水分吸着 / 密度 / 澱粉粒 |
研究概要 |
食品の物性は成分組成と構造とのある反映であるが、食品の持つ構造は一般的に不規則で定量的に扱う手段が存在しなかった為、構造との関連で物性をとらえようとした研究は少なかった。しかし近年Mandelbrotが提唱したフラクタル概念によって不規則な形や現象の定量的把握に道が開かれつつある。このフラクタル概念は形や現象に自己相似性を見いだし、フラクタル次元なる非整数次元で不規則なものを表そうとするもので、既に樹木の形や血管の分岐構造、タンパク質の高次構造等様々なものがフラクタルであることが認められている。本研究では食品素材の表面構造に対してフラクタル解析を行い、構造と物性との相関に科学的基礎を確立することを目的とし、主に多孔質構造と水や各種機能性分子の収着平衡との関連を念頭に解析すると共に粉砕操作におけるエネルギー則についても検討した。 解析には吸着法を用い吸着する分子の大きさや範囲によって食品表面がどの様に認識されるかを調べた。すなわち「粗視化によるフラクタル解析」、「測度によるフラクタル解析」、「分布によるフラクタル解析」を行った。 その結果、種々の食品表面がいずれの方法によってもフラクタル構造を取ることが示され、表面の起状や細孔構造をフラクタル次元で表し得た。また米粉、小麦粉、コーンファイバーの構造は脱脂処理後もフラクタルでありこれら素材中の脂質の存在状態もフラクタルであったと言える。しかし不活性分子の認識する表面構造と水分子の認識する構造とは一致しなかった。 さらに「測度によるフラクタル解析」の応用としてRittinger則を基に、対立する各種粉砕エネルギー則の統一的解釈を可能にした。 以上、本研究により食品素材の表面微細構造の定量的把握がフラクタル解析で可能であることが示され、各種物性との対応を明らかにする上での方向を示し得たと思われる。
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