研究課題/領域番号 |
62440036
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
内科学一般
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
鬼頭 昭三 広島大学, 医学部, 教授 (00010140)
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研究分担者 |
三好 理絵 広島大学, 医学部, 助手 (80209965)
下山 政憲 広島大学, 医学部, 講師 (60136067)
山村 安弘 広島大学, 医学部・付属病院, 講師 (10106388)
清水 雅美 広島大学, 医学部, 助手 (00196536)
稲垣 忍 広島大学, 医学部, 講師 (90151571)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
12,100千円 (直接経費: 12,100千円)
1989年度: 5,100千円 (直接経費: 5,100千円)
1988年度: 7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
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キーワード | 哺乳類脳 / 神経伝達物質受容体 / 神経ペプチド / 神経薬理学的研究 / ムスカリン性アセチルコリン受容体 / ソマトスタチン / 細胞内カルシウムイオン濃度 / ガラニン / アセチルコリン / 海馬 / 伝達物質間相関 / in vitroオートラジオグラフィー / アルツハイマー病 / 大脳皮質 / muscarinic acetylcholine receptor / somatostatin / phosphatidylinositol turnover / ラット海馬 / 細胞内カルシウム濃度 / 培養細胞 |
研究概要 |
ラット脳におけるムスカリン性アセチルコリン受容体(mAChR)とソマトスタチンの相互関連を中心として、古典的神経伝達物質系への神経ペプチドの修飾作用について検討した。ソマトスタチンのmAChRに対する作用M1アゴニストに特異的であり、受容体の親和性を低下させるという様式をとった。mAChRはイノシト-ルリン脂質代謝(PI turnover)を亢進させるが、ソマトスタチンはこれを増強させることを認めた。しかし、ソマトスタチン自身はPI turnoverに対し影響を与えなかった。このようなマトスタチンの作用のメカニズムを解明するために、海馬でのソマトスタチンの細胞内応答を調べた。ソマトスタチンは従来より抑制性の神経ペプチドとされているが、海馬培養神経細胞において細胞内カルシウムイオン濃度([Ca^<2+>]i)を上昇させることを発見した。この[Ca^<2+>]i上昇は、PI turnoverを介するものではなく、すべてのCa^<2+>供給源が細胞外にあり、おそらくN型Ca^<2+>チャンネルを通してCa^<2+>流入が起こるものと示唆された。ソマトスタチン受容体刺激による[Ca^<2+>]i上昇がmAChRの機能を調節する因子ではないかと考えられる。神経ペプチドによる修飾作用の他の例として、コレシストキニン(CCK)のドパミンD1受容体に対する影響もラット線条体において同様に観察した。CCKー8はD1受容体のアゴニスト結合には影響を与えず、アゴニストの結合親和性を低下させることがわかった。CCKの細胞内応答としては、ソマトスタチンと同様に、PI turnoverを介さない[Ca^<2+>]i上昇作用が認められた。以上の2例の実験デ-タから、神経ペプチドによる古典的神経伝達物質系の修飾には、[Ca^<2+>]i上昇が重要であり、これがアゴニスト結合の親和性を低下させる原因になるのではないかと推察される。また、ペプチドのこのような修飾作用は、物質による差違はなく、1つの共通の作用機構に基づくものではないかと思われる。
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