研究課題/領域番号 |
62440037
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器内科学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
鎌田 武信 大阪大学, 医学部, 教授 (80028399)
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研究分担者 |
片山 和宏 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
佐々木 裕 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
笠原 彰紀 大阪大学, 医学部, 助手 (70214286)
林 紀夫 大阪大学, 医学部, 講師 (00144478)
佐藤 信紘 大阪大学, 医学部, 講師 (90028358)
房本 英之 大阪大学, 医学部, 助手 (90124776)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
25,200千円 (直接経費: 25,200千円)
1989年度: 6,200千円 (直接経費: 6,200千円)
1988年度: 9,000千円 (直接経費: 9,000千円)
1987年度: 10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
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キーワード | B型肝炎 / HBV / X遺伝子 / 肝癌 / 肝炎進展 / HBx抗原 / HBx抗体 / ウィルス増殖 / HBウィルス / 慢性肝炎 / 肝硬変 |
研究概要 |
B型肝疾患におけるHBウィルスX遺伝子発現動態およびその意義を検討した。用いたHBx抗原はX遺伝子の約94%の遺伝子より発現させたリコンビナントHBx抗原およびその家兎血清を使用した。血清HBx抗体は急性肝炎症例や無症候性キャリア-では出現せず慢性肝炎以降の症例に出現しており、HBx抗体はHBウィルスの長期感染後に出現してくることがわかった。HBx抗原は血清HBx抗体陰性症例の肝細胞質に発現が見られ、HBx抗体陽性症例での発現は見られなかったことより、HBx抗原はHBウィルス感染の比較的早い時期に発現していることが明らかとなった。さらにHBx抗原発現とHBウィルス増殖との関連を検討するため、肝組織中HBx抗原発現および血中HBV-DNAとの相関を解析したところ、HBx抗原発現例では有意に高率にHBc抗原の発現および血中HBV-DNAの検出がなされ、HBc抗原がin vitroにおける実験系でHBウィルスのenhancerを活性化するのと同様に、in vivoにおいてもHBウィルスの増殖を制御している可能性が示された。さらにHBウィルス粒子(Dane粒子)の形成にPre-S抗原が必要であることが近年in vitroで示唆されているが、今回の検討でもPre-S抗原が肝細胞膜上に発現している症例では血中HBV-DNAが陽性率が有意に高率であり、Pre-S抗原発現動態もHBウィルス増殖に密接に関連していることが示唆された。また、2例のB型肝癌症例においてHBx抗原の発現を検討したところ、肝癌部での発現は見られなかったが、隣接非癌部において発現が見られたことより、癌細胞の増殖よりはむしろ肝癌の発生母地として発癌過程に関与している可能性が示唆された。以上よりHBx抗原は、HBウィルス感染症例に於て主として肝細胞質内に発現してHBウィルス増殖を制御し、またB型肝癌の発癌過程にも関与している可能性が示唆された。
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