研究課題/領域番号 |
62440085
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物質生物化学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
背山 洋右 (脊山 洋右) 東京大学, 医学部, 教授 (90010082)
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研究分担者 |
堀 チヨ 東京大学, 医学部, 教務職 (10157050)
笠間 健嗣 東京大学, 医学部, 教務職 (80124668)
清水 孝雄 東京大学, 医学部, 助教授 (80127092)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
14,900千円 (直接経費: 14,900千円)
1988年度: 4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
1987年度: 10,600千円 (直接経費: 10,600千円)
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キーワード | ハーダー腺 / 細胞成長因子 / サーカデイアンリズム / ハーダー腺培養細胞 / FGF / 細胞増殖因子 / メラトニン / ポルフィリン / フェロモン |
研究概要 |
ハーダー腺はHarderによって1694年に報告された。この腺の生理機能については潤滑作用、フェロモン分泌作用、光受容体として生物リズム(サーカデイアンリズム)の調節等が言われている。ハーダー腺を取り除いてしまうと松果体に対する光照射の効果が失われ、セロトニン量も低下する。またハーダー腺のメラトニンの濃度が日周変動を示すという報告も見られる。我々は長年にわたってこの臓器を脂質代謝の面から研究してきたが、本研究に於いてはモルモットハーダー腺のホモジネート中に、ヒト胎児胚線維芽細胞(TIGー3細胞)に対する著明な細胞増殖効果を有する物質を発見し、精製を行い他の細胞成長因子とは異なる新しいタンパク質であることを明かにした。更にタンパク化学的性質、種々の細胞に対する効果等を詳しく検討した。 〔方法〕諸性質の検討にはTSK DEAEー5PW、Blue-Sepharose CL-6B、Superoseで約4万倍に精製したものを用いた。ハーダー腺細胞成長殖因子の活性は、培養細胞DNAに取り込まれる[^3Hーmetyl]ーチミジンを測定する方法を用いた。 〔結果〕本因子は、分子量約14,000で酸、熱、トリプシン処理に不安定、5mM DTTにやや不安定な、pI5.1の酸性タンパクであり、そのN末端はブロックされていた。この細胞成長因子は、セリン、グリシンが多くロイシンが少ない。TIGー3細胞の他、BHK、Ba1b/3T3、ウサギ角膜由来細胞、ウマ皮膚由来細胞、モルモットハーダー腺細胞とJHー4細胞の増殖を促進し、細胞増殖効果に種持異性は見られない。一方、WIHI3、KB、VERO、CHO細胞に対する増殖促進効果は認められなかった。更にFGF依存性細胞K2T1、A2T2にも全く活性を示さないことも明らかになった。 〔考察〕本研究でハーダー腺には特有な細胞成長因子が大量に存在することが明らかになった。本因子のハーダー腺での役割の研究はハーダー腺でのサーカデアンリズムの解析に有力な手がかりとなる可能性を示唆するものである。
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