研究分担者 |
石井 慶造 東北大学, サイクロトロンラジオアイソトープセンター, 助教授 (00134065)
武田 俊平 東北大学, 抗酸菌病研究所・放射線医学部門, 助教授 (00006115)
水柿 道直 東北大学, 医学部, 教授 (60004595)
小暮 久也 東北大学, 医学部, 教授 (20133936)
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研究概要 |
MRIとPETによるアルツハイマー病と血管性痴呆の鑑別的画像解析 [1]MRI (1)脳の萎縮 両者に共通であるが, アルツハイマー病では発症当初には明かな萎縮がみられないのに対し, 血管性痴呆においては発症当初から必発である. 疾患の進展につれアルツハイマー病ではより急速に脳萎縮が進展する. 血管性痴呆においては多発性梗塞が先発し, まず脳溝性脳萎縮が卓越し, それから数年おくれ, 40才を起点として脳室性脳萎縮が進展する. 基本的には, アルツハイマー病では神経細胞の脱落によって一次的に脳萎縮が進展するのに対し, 血管性痴呆では, 脳梗塞と脳背髓液流の障害による二次的脳萎縮が発展する. (2)脳虚血巣 MRIのT_2強調画像において血管性痴呆においては明かな虚血巣又はその結果としての梗塞巣が必発的にみられるのに対し, アルツハイマー病においてはみられない. (3)脳室周囲高信号域(PVH=periventricular high density area)脳背髓液の脳室周囲とくに白質への浸潤がPVHであるが, 血管性痴呆では必発的且つ高度にみられるのに対し, アルツハイマー病ではみられないのが一般である. [2]PET アルツハイマー病では, 酸素消費量に比べてブドウ糖消費量の異常低下が特徴的であり, この異常低下は神経細胞膜のヘキソキナーゼ活性の異常低下に基づくものであることが明かとなった. 血管性痴呆ではこのような変化はみられず, 病巣部の血流量の低下に見合う酸素消費量とブドウ糖消費量の同等の低下がみられる. 以上のように血管性痴呆は,脳虚血又は脳梗塞により二次的に発症するのに対し,アルツハイマー病は神経細胞膜の異常老化に基づく一次的神経細胞の脱落であるといえる.
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