研究課題/領域番号 |
62450092
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
教育学
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
野田 一郎 東京学芸大学, 海外子女センター, 助教授 (50133111)
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研究分担者 |
鈴木 モト子 東京学芸大学附属高等学校大泉校舎, 教諭
長瀬 瑞己 東京学芸大学附属高等学校大泉校舎, 教諭
中田 嘉種 東京学芸大学附属高等学校大泉校舎, 教諭
SUZUKI Motoko Tokyo Gakugei University High School (Oizumi)
NAKADA Yoshitane Tokyo Gakugei University High School (Oizumi)
NAGASE Mizuki Tokyo Gakugei University High School (Oizumi)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
400千円 (直接経費: 400千円)
1988年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
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キーワード | 帰国子女教育 / 日本語教育 / 国語教育 |
研究概要 |
帰国生にふさわしい教材とは、その日本語力に応じて不足していた日本語力を補うものであると同時に、発達段階に合い、その思考を深めるものである。日本語力のどの部分が不足しているのかを把握する手段も確立されてはいないが、東京学芸大学附属高等学校大泉校舎における実践から、長期海外滞在者の場合の基礎日本語力の補充をめざして、報告書の「日本人の生活感情」をまとめた。基礎力すなわち文脈の呼応や基本的語彙を補わなければならない帰国生の場合、日本語のことばの背景にある日本人の感情を理解しなければ、そのことばを認識することは難しい。ある程度の日本語力を持ち、一般生活に不自由がないように見える帰国生の場合も、抽象的な内容や日本文化を背景としたものになると、つまづくばかりでなく、拒否反応を示して理解できないこともある。これは、知識を加え、異文化体験で培われた日本文化を客観視する姿勢を発展させることでずいぶん解消される。そこで、日本語を世界の言語の中に位置づけ、その特色を考える教材を開発し、報告書「世界のなかの日本語」にまとめた。日本文化は、古典や中国の文化に支えられている。そこで、古文、漢文の世界にも目を向けさせるように、身のまわりのことばから漢文入門を、絵の世界から古文入門を考える教材を工夫し、報告書の「物語と絵」、「文字とことば」に示した。このように、日本語、日本文化の知識を得、客観的にながめて考えることは、現在日本人として生きる帰国生にとって、かつての異文化体験を相対化し、自分をみつめることにつながる。明治期の異文化体験の記録でもある永井荷風の『新帰朝者日記』を通じて文明批評を行うことは、帰国生の特性を引き出し独自の思考を展開させる教材ともなる。報告書の「文明批評への視点」は、このようなより高度な内容の教材として示した。以上の5章からなる報告書(別に添付)に研究成果をまとめた。
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