研究課題/領域番号 |
62460019
|
研究種目 |
一般研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
固体物性
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
野村 一成 北海道大学, 理学部, 助教授 (80128579)
|
研究分担者 |
三本木 孝 北海道大学, 理学部, 教授 (60000791)
|
研究期間 (年度) |
1987 – 1988
|
研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
|
配分額 *注記 |
7,700千円 (直接経費: 7,700千円)
1988年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1987年度: 7,100千円 (直接経費: 7,100千円)
|
キーワード | 電荷密度波 / スライディング / ピン止め / 狭帯域雑音 / トンネル顕微鏡 / 相関距離 / しきい電場 / トンネル顕微鏡静水圧 / 擬一次元導体 |
研究概要 |
電荷密度波のスライディングを調べるために、電気的測定及びトンネル顕微鏡による測定を行った。 電気的測定では、電気伝導度、スライディングのしきい電場、狭帯域雑音過渡的電圧振動等を、K_<03>MoO_3試料において、温度と圧力を系統的に変化させることにより測定した。しきい電場の振る舞いは、電荷密度波の位相の相関距離の変化で説明され、K_<03>MoO_3において弱いピン止め機構を確かめるところとなっている。電荷密度波のスライディングに関しては、狭帯域雑音及び過渡的電圧振動の測定により、電荷密度波はスライディングの始めにおいて、三次元的に非常に長い速度変調の位相の相関距離をもって動き始め、次第に速度の相関を失いつつ定常状態になることが確かめられた。このときは電荷密度波は、スライディングの始めでは剛体的に振る舞い、定常状態ではより変形し易いことがわかった。 トンネル顕微鏡測定においては、まず低温域で動作するトンネル顕微鏡装置を作製した。トンネルニユットは、熱交換用のヘリウムガスの入ったセルの中に配置されており、このセル全体はガラスデュワーの中で温度を制御できる。この装置を用いて、K_<03>MoO_3の電荷密度波の観測を試みたが、鮮明な原子像、電荷密度波により超周期構造ともに得られなかった。原因は主として試料表面のよごれと考えられるが、ガス吸着の制御等が今後の課題である。一方、試料に電流を流した状態でのトンネル電流のスペクトルに極めて鋭いピークを観測した。このピークは、試料表面の電荷密度波の並進に際し、トンネル用探針と原子の距離が周期的に変動することによるものであり、表面電荷密度波のスライディングの初めての直接的観測である。表面電荷密度波のスライディングの速度は、内部のスライディング速度よりかなり速いことがわかった。
|