研究概要 |
二核白金(II)、(III)錯体でPt(N-S)_4Ptコアをもつもの(N-Sはピリジン-2-チオラト配位子やその誘導体)には4種の異性体があり、ここではそれぞれをシス,トランス,3S,4S体と名付けることにする。それぞれはcis-PtS_2N_2,trans-PtS_2N_2,PtS_3N,PtS_4部分を含む各異性体に対応する。シス-およびトランス-[Pt_2(4+mpty)_4],シス-[Pt_2X_2(4-mpyt)_4](X=Cl,Br,I,CN),トランス[Pr_1X_2(4-mpyt)_4)](X=Cl,Br,I,CN),BS-[Pt_2X_2(4-mpyt)_4](X=Cl,Br,I,CN),シス-[Pt_2(CN)X(4-mpyt)_4](X=Cl,Br,I,N_3),トランス-[Pt_2(CN)X(4-mpyt)_4](X=Cl,Br,I),3S-[CN(N_3),I(S_3)]-[Pt(CN)I(4-mpyt)_4],3S-[CN(S_3),I(N_3)]-[Pt_2(CN)I(4-mpyt)_4](4-mpyt=4-メチルピリジン-2-チオレート^<1->)計23種類の異性体を合成単離し、それぞれの構造を特定し、性質や反応性を調べた。これら多数の化合物について電子スペクトル^1H,^<13>C,^<195>PtNMR等の基本的データを集めた。とくに^<195>Pt化学シットについて検討を行ったが金属諸体についておこなわれてきた金属原子の形式酸化数やドナー原子の性質および基礎項-励起状態(磁器遷移モーメントが零でない状態)間のエネルギー差等のパラメータだけでは説明できずPt^<III>+Pt^<III>の結合の影響が大きいことがわかった。cis-[Pt_2X_2(pyt)_4]+CN^-→cis[Pt_2(CN)X(pyt)_4]+X^-、X^-,cis-[Pt_2(CN)X(pyt)_4]+Y^-→cis[Pt_2(CN)Y(pyt]_4+X^-(pyt=ピリジン+2-チオレート)等の置換反応について速度を測定し、いずれも解離型機構で進むことがわかった。同型のパラジウム(II)錯体cis-[Pd_2(pyt)_4]をPd_2^6錯体に酸化することを企画し、電気化学的手法でこれを試みたがハロゲンイオン共存下では用意にPd_2^<4+>→Pd_2^<6+>に酸化することができるが、Pd┣D12┣D1┣D16+┫D1錯体は対応するPt┣D22┫D2┣D16+┫D1錯体に比べ著しく不安定で、後続反応により分解することがわかった。以上Pt┣D22┫D2┣D16+┫D1,Pd┣D22┫D2┣D16+┫D1に関する基礎的データを集めることができたのでこの研究を混合金属原子錯体に発展させ分子レベルでの合金の特色を調べることが要望される。
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