研究概要 |
1.天然セルロースの結晶構造 精製ラミーを試料として用い、従来報告されている反射数の約2倍50個の反射の積分強度を測定しX線結晶構造解析を行った。得られた結果は、信頼度因子R=16.9%であった。a=8.34〓,b=7.91〓,c(繊維周期)=10.37〓、γ=976^n空間群P2,の単位胞中に存在する独立な2個の結晶サイトをそれぞれ上向きと下向きの分子が統計的にほぼ等確率で存在する結晶構造である。Gordner & Blackwellが測定したヴァロニアセルロースの強度データを用いて上記構造の改良を行ったところR=11.7%の結果を得た。上向きと下向き分子の存在比は約7:3で、結晶構造の種により差異が、1結晶サイトを占める上向きと下向き分子の存在比における差にある事を示している。 2.絹の結晶構造 やはり、1結晶サイトを4本の向きの異なる分子が統計的に存在するモデルで、現在信頼度因子R=8.5%に結果を得、さらに、モデルの改良を進めている。 3.コンニャクグルコマンナンの結晶構造 上向き分子と下向き分子が、等確率で1結晶サイトを占めるモデルで、現在、信頼度因子R=16.7%の結果を得ている。 4.HVJ(センダイウィルス)ヌクレオカプシドの結晶化 HVJ(Heamagglutinating Virus of Japan)のヌクレオカプシドの結晶化を試みたところ、ともかく結晶性は非常に悪いけれども、結晶性のX線回折図を得た。これにより、繊維状ウィルス,ヌクレオカプシドの結晶構造解析への道を開くことができた。
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