研究概要 |
1.D.Y.Hildenboroughの菌体を処理して高分子量チトクロムの精製をおこない、純粋なタンパクを得ることができた。ゲル瀘過とSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動により分子量を、75,000と決定した。単一鎖のポリペプチドであって鉄分析の結果からヘムを16個もっていることが明かとなった。2メチル2、4ペンタンヂールまたはポリエチレングリコール1000を用いた蒸気拡散法によって結晶化に成功した。赤い六角板状の結晶である。X線写真を撮影したところ六方晶系であり、格子定数はa=b=227.8,c=105.7A,γ=120°と決定した。 2.D.V.Miyazaki F のヒドロゲナーゼの結晶を得る方法を確立し、多波長異常分散法を利用する構造解析を行なった。高エネルギー研放射光実験施設において、巨大分子用ワイセンベルグカメラを用い、イメージングプレート上に記録したX線回折データを処理した。1.736A,1.743A,1.388A,1.20Aの4つの波長において、測定した。それぞれの波長のデータを1つのデータセットとするとき、ローカルスケータの差のパターソン関数において、ハーカーの断面に、つじつまの合うピークが見出だされ、これより、鉄-イオウ クラスターの位置を求めることができた。他の波長での測定データからこれらの位置を確認した後、位相決定-構造解析へと進む。 3.チトクロムC553の多波長異常分散法による構造解析を行った。差のパターソン関数から鉄原子の座標を求め、各反射の位相を決定し電子密度分布を算出した。ペプチド鎖を容易にたどることができ、分子モデルを構築することができた。C端とN端にヘリックスがあり、これは多くのC型チトクロムと類似している。他に2ケ所短いヘリックスがあり、これらの位置やヘムとの関係がPseusomonas aeruginosaのチトクロムC551やazotobacter VinelandiiのチトクロムC_5と異なっている。
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